歪曲館の消失

目次

 ある富豪が建てた奇妙な建物、歪曲館で開かれるミステリーツアー。参加者はインターネットで知り合った顔も本名も知らない仲間たち。ところが嵐により館は陸の孤島となり、しかも参加者が次々と姿を消してしまう! 交錯する恐怖と推理、そして訪れる前代未聞の結末!

<08/10/19-完結>

0.prologue
 かくて汝は死を糧とし死は人を糧とする。
 そして死が死ねば、そこにもはや死は存在せず。
1.distortion
 希望はすこぶる嘘つきであるが、とにかくわれわれを楽しい小道を経て、人生の終わりまで連れていってくれる。
2.libretto
 日常生活で人々がおおむね正直なことを言うのは何故か。神様が嘘をつくことを禁じたからではない。それは第一に、嘘をつかないほうが気楽だからである。
3.inference
 しかし考えてみるとこれは無理もない話である。彼等は私の自白にスッカリ満足してしまって、ソレ以上の事に気が付かないでいるのだから……。彼等は要するに犯人を捕える無智な器械に過ぎないのだから……そうしてそんな器械となって月給を取るべく彼等は余りに忙し過ぎるのだから……。
4.vanishing
 かつてはバルタザール自身そうした犬儒派の一人だったが、その意見によれば、マクベスだろうとロミオだろうと、自業自得でない悲劇などありえない。全く自分の所為ではない不幸が次々に襲い掛かってくる芝居があったら、抱腹絶倒の大喜劇に違いない、と言うのである。
5.outsider
 望んでいたものを手に入れたと思い込んでいるときほど、願望から遠く離れていることはない。
6.pensee
 君はきっと、法律の術語を使って、『自己の陳述を立証する』ためには、この事件に要せられた活動力を十分に評価するよりも、むしろそれを低く評価すべきではないか、と言うだろう。法律の慣例ではそうかもしれんが、理論ではそうはいかない。僕の最後の目的は真実だけだ。
7.answer
 夢こそが現実である。
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