「輪廻は転生しました」あとがき

 アネクメーネ防衛軍では異色の作品。この文章を書いている時点で第20話まで公開しています。
 まず本作はアネクメーネ防衛軍ではなく「小説家になろう」という外部のサイトで連載されているものであり、また文章作法や表現方法についても、意識して他の作品とは区別が付けられるように書いています。

 そもそもなぜわざわざ外部サイトで連載を始めたかということなのですが……。みなさんご存知の通りアネクメーネ防衛軍はとにかく人が来ない、感想が来ないサイトなのです。今までいろんなところで宣伝したり、人を増やすためのいろんな小細工を重ねてきたのですが、どうもあまり効果がなかったわけですね。そこで発想を切り替えて、人を呼ぶのではなく、人がいっぱいいる場所で連載をしたらどうだろう、ということで小説の投稿サイトに目をつけたわけです。

 また、これまでの作品とは違い、かなり意図的に「ネット小説」向けに書いているところがあります。一文をなるべく短くして(それと同時に行頭の一時下げを排除)、描写も必要最小限のものにし、タイトルは分かりやすく、あとがきを書いたり、なるべく読者受けするような要素をぶち込んで――と賢しいことを考えながら、プロットを立てずにアドリブで書いたのが本作です。
 これは以前書いた「小説家になることへの諦め」が少なからず関係しているような気がします。おそらくこれをそのまま公募に出すことは不可能なわけで、一度「小説家を目指す」ことから離れてみよう(むしろ近づきたくない)というわたしの心の防衛機制が創りだした小説なのではないかと、まるで他人ごとのように分析しています。

 どんなストーリーにするかを深く考えずに書き始めたために、ストーリーラインもかなりの紆余曲折、あるいはごった煮の様相を呈しています。最初は異世界に飛んだ主人公のハーレムストーリーにするつもりが、やはり自分にはそういう生ぬるい作品が書けなかったらしく、なぜか途中からジャンルが戦争→能力バトル→剣客→スパイへと変遷を遂げています。


緒神輪廻/ラディ・ダールトン
 主人公。剣客。
 そういえば主人公は女→男へ性転換(転生)したという、ネット小説としてはかなり珍しい設定がありますね。もともとこれはハーレム小説を書くための設定で、ハーレム小説の制約であった「特定の女の子と結びつくことができない」という部分を、心は女であるという設定でクリアしようとした、ある種の抜け道だったわけですが。割とこの部分に対する批判が多いのも事実です。
 実は一番書きにくい、作者ですら実体をつかめていない謎の多いキャラクターです。輪廻という名前の由来は小説「刀語」の彼我木輪廻。あー、あと異世界での名前は、もうちょっと響きの良い名前にすればよかったかなあと思ってます。

ヴィセンテ
 主人公の戦友。
 すごく良い人ですよねえ。輪廻がヴィセンテとくっつく展開にしたいのですが、それをやると本格的な「誰得小説」になりそうなので自重しています。BLなんて書いたことないですしね。でも一度もやったことがないことに挑戦することにこそこの小説の意義があるような気がしないでもないですが、多分そうはならないのでご安心を。
 名前の由来はドラマ「スパイ大作戦」に登場する独裁者より。

ヴァージニア・キャスカート
 主人公の戦友。ヒロインその1。
 どこまでやっていのか、未だに扱いを決めかねている感じです。やりすぎると良くないのは分かっているのですが、あんまりゆっくりだと、それこそ読者の方々が離れてしまうので、そのあたりのバランスが難しいです。やはりわたしに恋愛小説は向いていない……。
 名前の由来はゲーム「THE 推理」シリーズに登場するジニーというキャラクターから。設定上、メインストーリーに絡ませるのが難しいし、性格としてもかなりステレオタイプで、正直言ってかなり後悔しているキャラクターです(汗

ゴアーシュ・シュトラウス
 主人公の戦友。
 面白い人ですよねえ。名前の「ゴアーシュ」は小説「ゼロの使い魔」のギーシュが元ネタで、性格もかなりの部分をギーシュから借りてきています。気づいたらヴァージニアと良い感じの仲になっていました。ヴィセンテが輪廻にとっての良き助言者なら、ゴアーシュはヴァージニアにとっての良き助言者なんですね。

シャルロット
 女王様。ヒロインその2。
 かなり見切り発車で出しました。おかげで第一部ではほとんどストーリーに絡めませんでした。性格がまったく尖っていないので、正直どうやって書けばいいのかかなりあやふやなキャラクターであります……。
 ヴィジュアルイメージも名前もほぼすべてをアニメ「ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォードから拝借しています。人間関係としてはかなり美味しいので、なんとかしてメインストーリーに復帰させたいのですが……。

アブリル・ヒルマン
 主人公の上司。ヒロインその3。
 乱暴口調の純情な美女です。この人は書いていて楽しいですね。軍の、それなりの地位の人間なので、ストーリーに絡ませやすいのもグッド。輪廻と絡ませなくてもいくらでもキャラを立たせることができそうです。名前の着想は歌手のアヴリル・ラヴィーン。

カリナ・エーデル
 帝国の大将。
 実はヒロインの予定だったのですが、輪廻とカリナが出会うのはいつのことやら。「部屋を片付けられない」という現実にもありそうな特徴をかなり誇張して書いています。漫画「さよなら絶望先生」の木津多祢みたいですね。
 イールズとはすごく良いコンビでした。帝国のカリナ・イールズ組と、王国のアブリル・輪廻組は、まるで鏡写しのような正反対の性格をしています。……ってのはたった今考えました。

斧原一心/ブラッチ・イールズ
 帝国のエース。毒蛇のイールズ。
 実は第一話の冒頭で「斧原一心」の名前を出した時点では再登場の予定はなかったんですよね。でも第一部を締めくくる敵としてふさわしいものを、と考えたときに、輪廻と因縁を持っているのが斧原一心くらいしか思い当たらなかったんですよね(笑
 輪廻との決戦のシーンは多くの方から好評をいただきました。ありがとうございます。わたしもノリノリで書きました。

九条愛型
 輪廻のライバルキャラとして登場させました。と言ってもほとんど出番がありませんが……。今後、何度も輪廻の前に登場させることで、少しずつ印象に残るようにしていきたいと思います。長期的には、もうひとりの主人公です。キャラクターとしてのテーマは「邪悪」。名前とのギャップが楽しいですね。

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