「歪曲館の消失」あとがき

 わたしの書いた三作目のミステリー。
 と言っても前二作は続き物という色が強いので、実質これが二作目ということになります。

 この小説の狙いは「いかに読者の視線を制御できるか」ということ。つまりどこまでミスディレクションをばらまけるか、ということでした。
 それが実際にやってみるとなかなか大変でして……。本当ならばサスペンス色の強い作品にしたかったのですが、わたしの筆力ではとてもじゃないけど無理でした。そのせいなのかもしれませんが、分量の割に中身がない、というか。ずいぶんすっかすかだなあ、というのが読み返してみての印象です(爆

 どうもわたしは、小説内をエピソードで補填するのが苦手なようです。いわゆるキャラ萌え小説の書き方なんですが、本筋以外の物を書けない、というか。寄り道しながら目的地へ到達するだけのコントロール力がないのですね。単に物語を回すだけの力が足りないのかもしれませんが。
 わたしの弱点がこれでもかってくらい露骨に表れた、そういう意味では非常に勉強になった一作です。

 基本構成としては、まず最初に外部犯の可能性を消して、内部の犯行という線で推理させ、その後に外部犯の根拠である要素をひっくり返す。人間はある前提条件の下で推論を働かせると、その前提条件が否定された後でも推論を正しいと誤解しがちです。そういう錯覚をうまく利用しようと思ったんですが、うまくいってますか?(汗
 あとはまあ小ネタとして、消去法の活用くらいですかね。消去法というのは論理的には正しい方法ですが、それは必ず正解が選択肢の中に含まれていなければいけませんからね。今回のような場合には決してうまく回りません。

 とまあ、目指したところは壮大なのですが、なんだかバカミスぎりぎり、いやぎりぎりバカミス、くらいのレベルで、正直これを読んで頂いた読者の方には頭が上がりません……(土下座しながら)。

 「僕たちの問題」の書き方が抜けていなかったようで、かなり見切り発車で書き始めたために、前半の推理ゲームの部分は書いている途中で決定的な整合性のミスが見つかったりしてとても苦労した覚えがあります。とりあえず屁理屈をつけられる程度の整合性にはなりましたが、本音を言えばもうちょっとトリックを含ませたゲームにしたかったです。
 あの推理ゲームのパートは我ながらどうかと思ってます……。テンポが悪いことはなはだしい。


芝川真理紗
 主人公。みんな「まるさん」と呼ぶので真理紗って名前を書くとすごく違和感があります(笑
 基本的には、割とありがちなダウナーな傍観者タイプのキャラクター。なのですが、それと物語中のサスペンスとがうまく噛み合っていなかったような気がします。もうちょっとヒステリックな性格にすればよかったかも。
 灰色に出てきた芝川探偵と同じ名字です。血縁関係がある、というのをどこかで匂わせたかったのですが、すっかり忘れてて結局放置したままになってしまいました。まあそんな設定をしたところで大したストーリーは生まれないでしょうけど。芝川、って名字もそれほどレアな名前ではないので偶然の一致で片付けられそうです。

メルトダウン如月
 探偵役。アンニュイで奇抜な女探偵で正体不明。
 モデルはメルカトル鮎。性格も本家みたいなひどい人にしたかったのですが、わたしの筆力不足でなんだかよくわからない人になっちゃいました。言動が怪しい以外は割と普通の感性を持った人です。個性的なキャラクターを作るのは本当に難しいですね。
 メルトダウンってのはもちろん彼女のリングネーム(探偵名?)。本名は平凡な名前です。本編の最後でそれを明かそうと思っていたのですが、風呂敷をたたむのに必死ですっかり忘れてました。こんな感じで放置されてる伏線がいっぱいあると思います(爆
 結局彼女が山道を徒歩で歩いていた理由も不明なままですしね……。我ながら片手落ちだと思います。ごめんね。
 ちなみに如月は真理紗の名前から東方の某キャラを連想しました。物語の中で与えられた役割に関しても、メルカトル鮎のパロディという色が強いキャラクターです。ストーリーの方でも翼ある闇をパロディにしてる部分がありますしね。

フミナ
 管理人さん(偽)。
 本名は橘文菜。いいところのお嬢さんです。歪曲館を買ったのはおそらく彼女の実家の財力でしょう。

Kyo
 本名は伊達恭一郎。本名の元ネタはわたしが見たとある劇に出てきたキャラクターです。そのキャラクターも新聞記者なのですが、役者さんが素人劇団とは思えないほどこなれた人で、その人のテノールボイスがやたらと印象に残ってます。
 もうちょっと真理紗とのラブロマンス的なものを発展させたかったのですが、なんだか最後はずいぶんと間抜けなイメージになってしまいました。

西弓東刀
 これ本当になんて読むんですかね(笑
 本名は山本順平。大学生です。
 ハンドルネームって基本的に文字ですから、発音と一致しないことが多いですよね。「†名前†」みたいな記号を含む名前とか、「SMSRL」のような母音のない名前とか。そういう人ってオフ会のときになんて呼ばれるのか(どう発音されるのか)、非常に興味があります。
 ちなみにわたしは一度もオフ会というものを経験していません。作中のオフ会に関する話もすべて想像で書いてますので(取材もしてない)、間違ったことが書いてある可能性があるのであまり信用しないでください。ってわざわざことわる必要はないと思いますが(笑

ゆーせい
 本名は力丸友成。
 ストーリーを回す上でとっても役に立ちました(笑
 ゆーせいさんみたいに感情的に動くキャラクターをもう少し増やせばパニックを演出できたんじゃないか、と今さらながら反省。まがりなりにも歪曲館の消失が小説の体をなしているのはほとんどゆーせいさんの手柄だと思います(笑
 鉛の歯車のメンバーは自分の本名を基にしてハンドルネームを決めている人が多いですね。実際にみなさんはどうやって自分のハンドルネームを決めているんでしょうね。
 ちなみにわたしの名前は完全に語感と字面で決めました。意味も特にありません。本当はニックネームとか本名のアナグラムとかにしたかったのですが、どういじっても無理があったので挫折してしまいました。

千歳うらら
 本名は貝吹由紀緒。
 画家って名乗ってますが、どう考えてもフミナさんのヒモになってますね。
 すっごい酒飲み。歪曲館にやたらとアルコールが置いてあるのはみんな彼が理由です。フミナさんは尽くすタイプの人なんですね。……なんか共依存になってそうな気が。

小春坂
 本名は寺内七絵。本編未登場です。
 設定だと女子高生。ですが、ミステリーのサイトに入り浸る女子高生って実在するんですか?(爆
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