「僕たちの問題」あとがき

 これまでいろいろ書いてみて、わたしには物語を引っ張っていく能力がないという致命的な弱点が露見してしまいました。「僕たちの問題」を書こうと思ったのはその弱点を克服するためであり、わたしが前から書きたいと思っていても苦手でまったく実現しなかったラブコメを書くためでもあります。
 あと、小説をコンスタントに書き続けられるよう、つまり文章を量産しようと意識し始めたのもこの時期からでした。ちょっとがんばって、1日に原稿用紙10枚、それを毎日続けて一ヶ月に300枚……となるはずでしたが、実際にやってみると、一ヶ月に200枚くらいが精一杯でしたね。やはり1日でも遅れてしまうともう取り返せなくなってしまいます。1日10枚、というのはわたしのリミットですからね。書けなかった分のノルマを翌日に回しても消化できないのです。

 そもそもがラブコメ、というのでわたしの苦手分野、その上毎日ペースを崩さずに書き続けていくというのでかなり消耗した記憶があります。が、主人公の石岬くんの流れるような一人称が非常に書きやすくて、まあプラスマイナス0というところでしょうか。ラノベ調を意識して文体もこれまでのものとは少しだけ変えるように心がけました。石岬くんの長回しなんかはちょっと西尾維新っぽいですが……(笑
 文体のコントロールと執筆速度の限界を知ることができたので、そういう意味で、本来の目標を達成できた本作は大成功だと言えるでしょう。読者の方々にその成功を還元できるといいのですが(汗

 ストーリーはとにかく何も考えずに見切り発車、キャラクターの設定とシチュエーションだけでどこまで話を転がせるか限界に挑戦してみました。……まあすぐに頓挫するんですけど(爆
 ストーリーに強力な芯がないとどうしても書き進められないんですよねー。物語をエピソードで充填するのが非常に苦手なのです。この問題は次に書く「歪曲館の消失」でさらに顕著な形で現れることになります……。

 最初に一回書き進めて、それがうまくいかずに一度丸ごと書き直しをしています。後述しますが、本当ならばこの物語、「毒舌思考の腹黒主人公に純真な恋人が現れて徐々に感化されていく」って感じの話だったんです。ごめんなさい、筆力不足で書けませんでした。
 腹黒いキャラってのと純真なキャラってのが両方わたしの手札にないキャラクターでして。いやもう、自分の能力不足が悔しいです。自爆覚悟で挑戦すべきだったのかもしれませんけど、サイトの運営が軌道に登った段階で下手な手を打つ覚悟がなかったというか。重ね重ね自分が情けないです。

 物語最後のよく分からん展開は自分でもどうかと思ってます(爆
 でもまあ、ちゃんと風呂敷を畳めたので及第点……だよね? だよね?
 本当はラブコメ特有のくっついたり離れたりをしようと思ったのですが、そもそも初期設定で下手を売っていた感があり――やはりわたしにツンデレは書けないな、というのが正直なところです。一度で良いからツンデレを書いてみたいですねー。わたしの今の目標であります。


石岬恋十郎
 ものすごく書きやすかったです。
 初期設定では「毒舌思考」って書いてあります。ルルーシュみたいなのをイメージしてたみたいです。が、気づけば各登場人物の調整弁みたいになってました。現バージョンのイメージは戯言シリーズのいーちゃんかな。いや、文体のイメージがそうだってだけなんですけど。
 人間の思考フローに近い文章はとっても書きやすいですね。書きやすいってのは、短時間でいっぱい書けるってことであって、決して質が良くなるってことではないんですけどね(笑
 ところどころ思春期の男の子らしい欲求が口をつくあたりがなんとも可愛い。

仲宮ゆう
 「仲宮」って姓がすごく好き(だからどうした)。
 イメージは「天然っぽいみいこさん」。見事に失敗してるわけですが(爆
 本当は「やってることは普通なのに一見して怖いから誤解されるキャラクター」にしたかったんですが、見た目が怖いって部分の説得力が皆無なために本編中でその部分の叙述だけがぽかーんと浮いている気がします。説明だけではなくてもうちょっと描写できるようになる必要がありますね。いやほんと、実力不足を痛感いたします……。

利川頼子
 すごく好きですね、このキャラクター。あのむちゃくちゃな会話が書いていて楽しかったです。本当なら全編それだけで押し通したかったくらい(笑
 イメージは春日井春日。「僕たちの問題」は戯言シリーズのパロディと言っていいくらい影響を受けてます。
 最後の応援演説のくだりは自分で書いていて頭を抱えました。ちょっとクサイ文章ですよね……。テンションで突っ走った状態で書き進めてみたんですけど。まあ青春エンターテインメントだから、多少の青臭さは許容範囲かな?

西後武
 良い人(笑
 本当は仲宮さんを取り合って石岬くんと激しいバトルを繰り広げるはずが、途中から恋愛物語を完全放棄してしまったために伏線を全廃棄するはめに……。
 本当はもっと嫌なやつだったんですけどねー。嫌な人ってどうしても書けないです。わたしの弱点ですね。それはこの物語の最後の展開でも顕著です。

美潮渚紗
 美女。
 天才肌の常識人という、天が二物を与えたケース。まあ性格がアレだからどっこいどっこいかな……。西後くんとの組み合わせは一度書いてみたかったのですが、どうしても機会がありませんでした。あのふたりがまともな会話をするシーンがほとんどないですね。
 そうそう、作中に生徒会の面々で夏の合宿に行ったという記述があるんですが、ラブコメなら省略せずにちゃんと書くべきでしたね。いや、そのころには本筋らしきもの(生徒会選挙出馬)が決定していたために、本筋と無関係な合宿のエピソードは削ってしまおうと考えたんですが。今になったら惜しかったですね。ていうかそういうところがキャラ小説を書けないゆえんなんじゃないかと思いますね。

浅間弘
 ヒロイン(笑
 いや冗談抜きでヒロインですね。多分石岬くんは仲宮さんのことよりよっぽど浅間くんのために戦ってますよ。
 なんかこうしてキャラクターを並べてみると良い人ばかりでつまんないですねー。「僕たちの問題」はゆとり小説ですな。
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